アクタージュ 覚書 その12 (scene114 役者冥利② 2020WJ26号 バレ)

 表紙絵 キャップを被った夜凪がイカ、タコ、タコ型宇宙人(?)を電波で呼び寄せている(笑 

     新宿なのか

 

★映画館にて

チケットを買う二人。

「たんぽぽ」の上映時間は夜からなので、それまで映画館を梯子して過ごすことに。

 

★スターバックにて(千世子と行ったお店かも?)

映画の梯子を終え、一休みする二人。

主人公の気持ちが分からなくなった作品があったとぼやく夜凪に、「映画の好みなんて所詮相性だろ」と軽口を叩いた黒山。

しかし、内心では下手な作り手以上に役の気持ちに立てるようになった夜凪を「一番怖ろしい観客」であり、「一番嬉しい観客」だと感じていた。

 

★映画館にて

鑑賞前のやり取りの中で、つい、「自分が凄いと思っている人の映画が面白くなかったら」と口走ってしまい、狼狽する夜凪を黒山は「映画の良し悪しは好み、所詮相性」と受け流す。

 

『たんぽぽ』

一人の女性の日常をただ描いているだけ。

しかし、その女性の顔を一度もフレームに収めない奇妙な映画。

そのことに夜凪が気づいたのはエンドロールが終わった後。

 

終了後、よく分からなかったと言いながら席を立つ観客達。

 

席を立たない夜凪に、黒山が問う。

「・・・どうした」

 

夜凪は答える。

主演の人はお芝居をしていなかったが、表現できていた。

主演の人に惚れて、その魅力を紹介しようとしたラブレターみたいな映画だったと。

「この役者さん、幸せだと思う」

「今日私この映画に出会えて良かった」

 

それを聞いた黒山が話し出す。

できれば、夜凪には望んで自分の映画に出て欲しかった。安心したと。

これからは自分の出演する作品は自分で決めたいと語った夜凪は

「いつ、私で撮ってくれるの。」

 

それを受けて、黒山は初めて撮ろうとしている映画について、夜凪に語る。

二十歳の時の「たんぽぽ」では一人の女性の美しさを描くので精一杯だったが、

世界のことを少し知って、「撮りたい」映画ではなく、「撮らなければいけない」映画が

見えてきた。まだ、力が足りないがもう少しだと。

そして、最後の総仕上げに、都会の若者だけでなく、「田舎のジジィやババァ」にも知られる役者になってくれ、オーディションで役を勝ち取ってくれ」と。

「分かった。任せて。」と夜凪。

 

★MHK

大河のキャストの選定が行われている。アイドル出身。実力派。モデル出身。有力候補の中に、夜凪景も。

と、そこへポニーテールの女性が「おはよ~」と颯爽と入室。

驚く周囲に、その女優『環』は自分の10代を演じてくれる子を見に来たという。

そして、夜凪の写真に目を留め、「今の墨字君のお気に入りか」と笑みを浮かべる

 

★MHK別室

久しぶりに、オーディションに臨む夜凪。自分が一番だと証明すると気合十分。

 

以下、次号。

 

不遇の終了を遂げるなら、ここで最終回が1000倍良かったと思える話です(苦笑

黒山の撮ろうとしている大作映画は誰にでも受け入れられるものということが明らかになった

回でもあります。

黒山の映画については考察もしたのですが、その度に異なる印象を受けてしまいますね。

「世界を知った」という言葉からすると、シリアスな作品のような気もしてきますが、何とも・・・

 

 

「たんぽぽ」が描かれましたので、もう一つの黒山作品「真夏の雪」にも触れたくなりました(笑

次は、読み切り「阿佐ヶ谷芸術高校映像科へようこそ」に寄り道してみたいと思います。