アクタージュ 覚書 その16 (scene116 もっと  2020WJ 28号 バレ)

 

 

 ★「キネマのうた」オーディション

別人を演じていたという夜凪に、驚きを隠せない志望者たち。

一人、環は君は面白いと笑う。

 

表紙絵 Vサインでカメラ目線の環連。 アオリは強く美しき大河主演・環蓮。

 

☆夜凪の回想

学校で隣の席のメガネッ娘今井さんをじっと見つめる夜凪。

不審げな今井さんになんでもないと誤魔化す。

 

役のバラエティを増やしたいという夜凪に、カメレオン俳優阿良也のアドバイス

「テキトーに人の物真似しまくればいい」

 

今井さんの後をついて歩き、彼女が大きな屋敷に住んでいることをインプットする夜凪。 

形を真似れば心が視えてくる。その中で生きていれば、いずれ自分の中にあるはずのない役の記憶が見えてくる。

手ごたえを感ずる夜凪。

 

夜、今井さんになりきって、駅を歩いていた夜凪は本物の今井さんに出くわす。

慌てて、身を隠す夜凪。

今井さんはメークをし、地味なメガネッ娘から別人のようになって、年上男性との秘密のデートに臨んでいた。

人間は皆役者だから、簡単には掴みきれないという阿良也の言葉を思い返し、人は相手によ

って態度や性格が変わるから一人を真似するだけで何人も演じられると感じる夜凪。

「やっぱり、お芝居って楽しい・・・」

 

学校で今井さん以外の人も真似し始める夜凪。

 

★「キネマのうた」オーディション

監督が手を叩いて、終了を合図する。

一芝居演じるごとに、まるで別人の夜凪に、中に何人連れてきた?と問いかける。

「12人かな。でも、いろんな顔を持っているから30人くらい」

夜凪の異能に皆言葉もない。

あわなければ、100人、それでもダメなら1000人に増やすと事も無げに続ける夜凪。

「私、何だって演じられるから、だから、私に役をください。」

 

「すごいの連れてきたね。墨字君。」それでも笑っているように見える環。

 

★MHK オーディション志望者を待つマネージャー達  

その中に、すっかりマネージャーだと自嘲する柊の姿も。

 

そこへ、阿笠みみ。

結果を問うマネージャーに、「ドラマとかやっている場合じゃない。基本から

学び直す。」と答えて立ち去る。

 

続いて、日尾和葉。

「落ちたよ」とぞんざいに告げる。「何かやったの?」(苦笑 と案ずるマネージャーに

「違う。負けただけ。」と珍しく悔しそう。

 

有力候補の様子に戸惑い気味の柊の前に、久しぶりに芝居が出来て楽しかったとご機嫌の夜凪が現れる。

 

そこへ、新名夏が声をかける。素でもオドオドしているんだなっちゃん・・・と柊(笑

しかし、逡巡してからの問いは「今が本物のあなたなの?」

問いの意味が分からない様子で、全部本物よ?と答える夜凪。

会えて良かったといい、新名夏も去る。

 

中で何かあったのかという柊に 別にと答えていた夜凪の肩に手を回して、環が登場。

「ねぇ、墨字君、いないの?」

環蓮の登場に驚く柊。「墨字君」という呼び方にひっかかる。

今日は来ていないというと、「残念、じゃ、現場でね」と立ち去ろうとする。

 

と、「たんぽぽさん?」と何かを感じ取った夜凪が呼び止める。

 

振り返る環。始めて、驚きの表情を浮かべている。

 

夜凪に向き直って話始める。

顔も名前も分からないのに、15年前の自分だとよく気づいた。

当時の自分は、今の夜凪の足元にも及ばず、恥ずかしいと。

 

「でもね、あの2年後には名実ともに今の君を抜いている。私、遅れ咲きなんだ。」

 

続けて、環の煽りが続き、夜凪は押され気味。

若さを妬ましく感じたのははじめてだけれど、映画は一期一会で子供の役は子供。

少女の役は少女にしか演じられない。

10歳若ければ、黒山の隣にいたのは夜凪景ではなく、自分、環蓮だったと。

自分だけ妬いている仕返しに、黒山には憂えてもらおうと挑発。

「本当は環で撮りたかったけれど、仕方ない。」「夜凪で我慢しておくか。」

 

そこで、始めて夜凪が反撃。「無理だと思う。」

それを聞いた環は「あはは。そう?」と笑みを浮かべている。

 

*見せ場の多い回でした。それにいくつかの伏線らしきものも微かに見えましたかね。

まずは、1000人でもと見得を切る夜凪。まるで、ラスボス(笑

デスアイランドの時のオーディションを思うと、この2年の成長に感慨を覚えるところです。

 

そして、真打は環蓮ですね。

登場から、ここまで大体環は余裕の笑みを浮かべていたのですが、「たんぽぽさん」と言い当てられて、始めて素の感情を見せています。

「たんぽぽ」を何度も見ているであろう柊でさえ、気づかなかった事実に気づいた夜凪の感性と

黒山との相性の良さに驚いたのでしょうね。

その後の煽り、挑発は嫉妬もあるんでしょうけど、むしろ、夜凪にもっと成長しろとハッパをかけているように思います。

黒山の撮ろうとしている映画、それにどういう主演女優が必要か、環は知っているようにも感じました。黒山が「2年後」に映画を撮ると夜凪に言っていましたが、今回、環が今の君より「たんぽぽ」を撮ってから『2年後』の自分の方が役者として上だといっているのは、20歳前後の女優が主演として求められていると知っていたからかもしれません。ひょっとすると、環は黒山の映画の主演になれるべく努力をして役者として開花したのかもしれません。

いずれにしろ、環主演の黒山映画は「たんぽぽ」以降はなく、海外から戻ってきた黒山は環ではなく、「星アリサの再来」を探していくことになります。ビジネス的な観点から、トップ女優になった環が無名の黒山の作品に出演するというのはありえないのかもしれません。ただ、20歳前後という年齢だけの問題ではなく、演技の特質も関わってくるのかもしれません。環については、改めて考えてみたいと思います。

 

ついでに、柊ですが、マネージャー同然という自嘲の後に、映画が撮りたいと言っています

この言い様からすると、どういう形か分かりませんが、柊自らが監督した作品もありそうですね。